今回の閣僚人事は麻生太郎財務相、菅義偉官房長官、河野太郎外相らは留任、自民党三役でも二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長ら総裁選で安倍首相を支えた面々はすべて留任となった。大下氏は新閣僚のメンツにこう感想を漏らす。

「世間体を気にせず、重要なところは身内だけで固めればいいと割り切った人事ですね。安倍政権は麻生さん、菅さん、二階さん、それに今井尚哉首相秘書官の4人が屋台骨で、憲法改正には下村博文・党憲法改正推進本部長と加藤勝信・総務会長の2人。外交面では、トランプ氏との交渉には茂木敏充・経済再生担当大臣、ロシアとの交渉には世耕弘成・経産相兼ロシア経済分野協力担当相の2人。あとはどう入れ替えてもかまわないんですね」

 モリカケ疑惑の論功行賞とも思われる抜擢人事も随所で行われていた。

 森友学園疑惑で財務省は公文書を改ざんするなどし、近畿財務局職員が自殺する騒ぎとなったが、責任者の麻生氏は留任。

 加計学園の獣医学部新設問題に絡んで暴露された「愛媛県文書」などに名前が記されていた加藤、下村両氏、山本順三・国家公安委員長はいずれも要職についた。小林氏もこう疑問を呈する。

「下村さんはスキャンダルを引きずっているし、加藤さんは前職の厚労大臣のとき、働き方改革でミソをつけた」

 現金授受疑惑で2年前に閣僚を辞任した甘利明氏は選対委員長だ。

「組閣の翌日、武部勤元幹事長の旭日大綬章パーティーが開かれたんですが、甘利さんはスピーチで『私は選挙に弱いんですが……』と笑いを取っていました。下村さんは安倍さんの今回の総裁選のときの選対代表、甘利さんは事務総長で、選挙を横滑りでやれということになった」(大下氏)

 安倍首相に防衛相に抜擢されたものの、昨年の日報改ざん問題で辞任した稲田朋美元防衛相は、筆頭副幹事長、総裁特別補佐として返り咲いた。

「安倍さんは憲法改正をなんとか前に進めたいわけです。公明党が憲法改正には非常に慎重な姿勢ですが、自民党の中でも二階幹事長は公明党と非常に紐帯感が強い。二階さんは改憲に慎重なので、その“お目付け役”として、参院選対応も含めて稲田さん、下村さんら安倍さんに近い人物を配置したということでしょう」(小林氏)

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創価学会関係者は打ち明ける…