都は市場問題プロジェクトチームで1.5トンフォークを例示しながら、フォークリフトが走行しても安全だと説明してきたが、築地でメインに使われているのは2.5トンフォークのほうだ。

 建設エコノミストの森山高至氏もあきれながら言う。

「2.5トンフォークは800キログラムまでしか運んではダメなんて、あまりに理不尽です。水産物が入ったパレットは氷も詰められ重くなり、すぐに1tくらいになってしまう。いけすに使う塩も大量に運搬します。本当なら、『2.5トンフォークリフトは使えません』と言わなければならないはずですが、反発を恐れているのでしょう」

 競り落とした魚を仲卸業者が店に運び込む時は、フォークリフトよりも軽量のターレで運ぶことが多い。それでも、フォークリフトでなければ運べないものも少なくない。

 床積載荷重の問題は、活魚を入れる水槽の水の高さにまで影響している。都は水の高さを70センチメートルまでに制限しているのだ。しかし、築地では水槽を2段重ねで設置することもあったのだ。

 開業を目前にして明らかになった問題点の数々。森山氏は強度不足の恐れに警鐘を鳴らす。

「杭の太さなどの強度が足らなかったのではないでしょうか。強度が足らないと、建物に負荷がかかり、劣化が進みます。地震が起きると大きく揺れやすく危険です。さすがに床が抜けることはないとしても、想定外の事態は起こり得るものです。こうした流通施設の床積載荷重は、1平方メートル当たり1・5トンくらいは見込むべきなのです」

 都はどう答えるのか。東京都中央卸市場の施設整備課はこう説明する。

 荷重積載の制限の貼り紙は、9月最終週に掲示した。漁港など産地から運ばれる時、1パレットの重量は最大でも1トン程度。市場で小分けされてから運ばれるので、800キログラムに制限しても運用上は問題ない。業界の実務者レベルの会合でも、制限について合意しているという。

 1平方メートルあたり700キログラムの床積載荷重は少ないとの指摘には、施設整備課の担当者はこう反論する。

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施設に合わせた積載荷重