【文豪の湯宿】門弟が営み…小林一茶が心癒やした温泉場 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

【文豪の湯宿】門弟が営み…小林一茶が心癒やした温泉場

このエントリーをはてなブックマークに追加
鈴木裕也週刊朝日
湯田中湯本/創業350年の歴史を持つ、湯田中温泉の草分けの宿。湯田中旅籠屋第1号の鑑札を保存し、多くの文人墨客が宿泊している/長野県山ノ内町平穏3080

湯田中湯本/創業350年の歴史を持つ、湯田中温泉の草分けの宿。湯田中旅籠屋第1号の鑑札を保存し、多くの文人墨客が宿泊している/長野県山ノ内町平穏3080

この宿に15年通い、多くの句を残した

この宿に15年通い、多くの句を残した

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は「小林一茶」の「ゆだなかゆもと」(長野県・湯田中温泉)だ。

【写真】「小林一茶」はこの宿に15年通い、多くの句を残した

*  *  *
 長い修行の旅を終え、江戸で俳人として名を成した小林一茶が、生まれ故郷の信州柏原に帰住したのは文化10(1813)年。 50 歳だった。門弟で有力な後援者でもあった湯本希杖・其秋父子が営む温泉宿・湯田中湯本を初めて訪れたのは翌年の10月19日。以降、亡くなるまでの15年間、毎年のようにこの宿を訪れた。合計滞在日数は152日にも及ぶ。

 宿泊時は湯に浸かり、酒を飲み、くつろぎつつ俳句を詠んだ。<(田中湯本にやどりて)座敷から 湯にとび入るや初時雨>

 点火用の付け木や端紙に、冗談交じりに「今夕ちとちと小ばやく一杯奉頼上候」と書きつけ女中に持たせ、宿泊していた別棟から酒を無心した連絡文も残されている。

 60 歳の時には長期滞在して「温泉之記」を著した。その中でも<雪ちるやわきすててある湯のけぶり><子どもらが雪喰いながら湯治哉>など、多くの句を詠んでいる。

 生涯に2万を超える句を残した一茶は、 64 歳で3度目の結婚。65 歳の夏、死の数カ月前に故郷の大火のために避難したのが、一茶にとって最後の湯田中滞在となった。(文/本誌・鈴木裕也)

■ゆだなかゆもと
長野県山ノ内町平穏3080

週刊朝日  2018年10月12日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい