72歳の男性は5年前から脊柱管狭窄症のため腰痛と下肢のしびれの症状が進行し、200~300メートルしか歩けなくなった。整形外科で処方された鎮痛剤などでしのいでいたが、「漢方で少しでも痛みが軽くなれば」と、小田口医師の外来を受診してきたという。

 小田口医師が八味丸を処方したところ、腰痛やしびれは少しずつ改善し、3カ月で500メートル、1年後には3キロ歩けるようになった。

 さらに嬉しいおまけもついた。男性は夜中に4回、排尿のために起きていたが、八味丸を服用したら2回に減り、ぐっすり眠れるようになったという。

「もともとの主な訴えは腰痛としびれでしたが、実は夜間頻尿もつらかったそうです。漢方はからだ全体の調子がよくなることによって、この男性のように複数の不具合が同時に改善することがよくあります」(同)

 さまざまな症状に悩んで何種類もの西洋薬を飲んでいたのに、漢方薬の効果でほとんどの症状が改善し、薬の種類を減らすことができたケースも多い。

週刊朝日  2018年10月12日号より抜粋