サザエさんコンテストの入選作品の展示。朝日新聞東京本社2階コンコースギャラリーで10月11日まで(撮影・鎌田倫子)
サザエさんコンテストの入選作品の展示。朝日新聞東京本社2階コンコースギャラリーで10月11日まで(撮影・鎌田倫子)
投稿作品が掲載された週刊朝日増刊『サザエさんと長谷川町子2018秋』(朝日新聞出版)
投稿作品が掲載された週刊朝日増刊『サザエさんと長谷川町子2018秋』(朝日新聞出版)

 4コマ漫画の「サザエさん」のオチを自分で考えてみよう──。

【投稿作品が掲載された『サザエさんと長谷川町子2018秋』】

 2020年に生誕100年を迎える長谷川町子に関する特別企画として、週刊朝日編集部が読者のアイデアコンテストを開いたところ、長谷川町子美術館副館長で学芸員の橋本野乃子さんをもうならせる秀一な作品が集まった。大賞は満場一致で決定。シュールな世界観に「(長谷川町子の)オリジナルより面白いかも!?」なんて声も上がっている。

 コンテストのお題となったのはこんな作品だった。

 まず障子の穴から部屋の中のサザエさんをのぞく誰かの目が見える。1コマ目はカツオ目、2コマ目はワカメの目、3コマ目にガラス窓に大きな目が現れる。正体はいったい何か。

 コンテストでは、それを読者が想像して、自分で4コマ目を描いて、漫画を完成させたものを応募してもらった。週刊朝日増刊『サザエさんと長谷川町子2018春』などで告知したところ、全国各地から900点近くの応募があった。中には海外からの応募も。

「プリンストン大学の図書館で、懐かしいサザエさんの特集号をみかけ、コンテストがあることを知り、子どもたちに参加させようと思いました」

 こう話すのは、アメリカ・ニュージャージー州にある日本語学校で中学3年生の担任を務める前田須美子さん。授業の一環としてコンテストに応募したという。

「世代を超えて愛されるサザエさんは、日本文化の担い手だと思っています」(前田さん)

 審査員は、橋本さん、同館学芸員の相澤弘子さん、週刊朝日編集部の佐藤修史編集長、『サザエさんと長谷川町子』シリーズのグラビアページで、磯野家の世界観を表現するスタイリストの伊藤まさこさんらが務めた。甲乙つけがたい作品の中から15作品を入選とした。

 特に注目が集まったのは、大賞に選ばれたペンネームA・Oさん(東京都)の作品。4コマ目に、窓の外の目の正体は描かず、「東京上空に謎の発光体」の文字が躍る新聞記事を残し、サザエさん姿が忽然と消えている。

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意外なオチが多くて驚きの連続