「感染症屋」の医師が語る川島なお美のがん死とワインの本当の関係 (3/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「感染症屋」の医師が語る川島なお美のがん死とワインの本当の関係

連載「ワインは毒か、それとも薬か」

このエントリーをはてなブックマークに追加
岩田健太郎週刊朝日#ヘルス
◯岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。専門は感染症など。

◯岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。専門は感染症など。

胆管とは右の脇腹についている肝臓から、胃の先にある十二指腸に向かって伸びている管のこと。この管にできるがんを「胆管がん」という。

胆管とは右の脇腹についている肝臓から、胃の先にある十二指腸に向かって伸びている管のこと。この管にできるがんを「胆管がん」という。

 先に紹介したPSCの研究では、研究者が少なかったという理由もあるが、そのようなテクニックをきちんと使っていなかった。また、「飲むか」「飲まないか」という2択問題ではなく、「どのくらい飲んでいるか」といった、アルコール摂取量と病気の関係も大事であった。が、そういう「量」に関する検討も不十分だった。小さいカップに1日1杯の養命酒という人と、うわばみのような大酒飲みを一緒に扱うのはいかがなものであろうか。そもそもPSCという珍しい病気を持っている時点で、この話は一般化できないであろう。

 別の研究もある。川島さんの疾患でもあった、肝臓の中にできた「肝内胆管がん」の患者において、C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、そして1日80g以上のアルコールの摂取と、胆石の胆管がん発生リスクが検証された。その結果、C型肝炎ウイルス感染がもたらす胆管がんリスクは、ざっくりだが10倍近く、胆石は6倍近くであった。しかし、B型肝炎感染ウイルスやアルコール摂取については、胆管がんの発生リスクを増やすとはいえなかった(Donato F et al. Cancer Causes Control. 2001 Dec;12(10):959-64)。
 
 医学論文のデータベースからは、関連のありそうな他の論文は見つけられなかった。既存のデータを参照する限り、川島さんがワインを愛好したことが原因により胆管がんで死亡したとはいえないだろう。

◯岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

岩田健太郎

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』など

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい