オンラインゲームの「断れない」関係は要注意(写真/gettyimages)
オンラインゲームの「断れない」関係は要注意(写真/gettyimages)

 ゲーム漬けの毎日で本人や家族の健康や生活に支障が出ている、ゲームをやめようとしてもやめられない、ゲームがないと何が何でも手に入れようとする……これらに心あたりがある場合、ゲーム依存症が疑われる。世界保健機関(WHO)がゲーム障害として病気の一つにも認定したゲーム依存症の何が危険なのか、精神科の専門医に聞いた。

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 四六時中ゲームをしていては、学校の成績が下がる、そもそも学校へ行かない、大人なら仕事のミスが増え、遅刻や欠勤も。どちらも家族をはじめとする人間関係が崩壊。これらは目に見えやすいゲーム依存症による弊害であり、その多くは、インターネットを通じてチームで戦いをするオンラインゲームによるものだ。

 オンラインゲームによるゲーム依存症はネット依存症でもある。長年、ネット依存症の治療にあたってきた成城墨岡クリニック院長で精神科医の墨岡孝医師は、ネット依存症の目に見えない部分での危険性を指摘する。

「海外の研究では、ネット依存の期間が長くなればなるほど、感情や感覚、欲望を制御する脳神経細胞の死滅が進むことが明らかになっています。これはギャンブル依存症でも同様ですが、虐待を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を訴える子どもに見られる脳の障害と似ているという点でとくに注目されています。ネット依存は度が過ぎると脳にとっては虐待と同じ、ともいえるのです」

 さらに、墨岡医師はオンラインゲームの「仲間に縛られる仕掛け」もゲーム依存症の危険な一面だという。

「オンラインゲームの場合、戦い以外の、チャットを使った仲間とのやりとりの時間も意外と多いものです。これで“断れない”関係が進み、時間を問わず参戦してしまうわけです。すなわちSNSの問題もはらんでいるわけです。さらに、仲間のために時間だけでなく、お金も使うようになると課金の問題も出てきます。より強くなるため、より称賛されるために、際限なくキャラクターやアイテムを買ってしまうのです」

 ゲームオーバーがない、獲得ポイントが何倍にもなる時間や期間を設定といった、いつまでも終わらせない、誘い込む仕掛けもオンラインゲームの特徴だという。

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ネット依存症のチェック項目