また、こうした症状が現れなくても、定期的に目とメガネが合っているか、チェックしたほうがいいという。平塚さんは、「メガネの度数の確認は、2、3年に1度ぐらいが望ましい」と話す。

「出血や網膜剥離など、病気で視力が急激に悪くなるケースと違って、老眼は徐々に見えにくくなっていきます。頑張って見ようとせずに、もしかしたら度が合っていないのではないかと考えることが重要。定期的に眼科を受診して、確認してもらったほうがいいと思います」(平塚さん)

 見え方の確認は、裸眼で生活している高齢者にも必要だという。

「実は、日ごろ老眼鏡や遠近両用メガネなどを使っていない高齢者ほど、生活が不自由で、その原因が“見えていないため”ということに気付いていない傾向があるようなのです」

 と林さんは指摘する。

 先の調査で老眼鏡や遠近両用メガネを使っている群(視力矯正群)と使っていない裸眼群とで比較した結果、裸眼群では近くの見え方(近見視力)が他の群より悪かったが、見え方の自覚では多くが「まあまあ見える」と回答していた。また、文字を読む、書く、歩行、食事などでどれだけ困っているかを示す生活不自由度では、裸眼群が遠近両用メガネ使用群よりも悪いことが明らかになった。

「被験者の数が少ないので今後の研究が必要ですが、見えにくさは聞こえにくさよりも主観的で、家族も気付きにくい。視力低下が明らかでも『見えている』と認識してしまっている高齢者を、どうすれば適正な視力矯正に導けるか、考えなければなりません」(林さん)

 定期的に眼科を受診するなどして見え方を確認する重要性はわかった。老眼の進行や目の見えにくさに気付いたとき、今の状態にぴったりなメガネを探すにはどうすればいいのか。

 まずはレンズ選び。老眼鏡は100円ショップなどでも売られているが、快適な見え方を得たいのであれば、眼科や眼鏡店で自分に合ったレンズでメガネを作るのが望ましい。眼鏡店でも眼科でも、視力を測って、レンズを選択してくれる。両者の違いについて梶田さんは言う。

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