――直接八角理事長や相撲協会からお話はなかったとのことですが、それは一門のことですか。

 一門のことです。

――先ほど8月7日にあったという文書は組織から来たものでしょうか。

 相撲協会からです。

――暴行事件などもありましたが。

 我が子が、自分の育てている子どもが傷を負ってしまったということで、そのことがショックでありました。今は当人も元気な姿でやられておりますので、まずはそこに感謝したいなという気持ちです。

――親方、誤解されているんじゃないかと思って聞いています。告発状の内容を全て事実無根として認めなければ一門に入れない、ということを相撲協会の総意として決めるとは考えられないんです。告発状を出した親方には親方なりの真実があると思います。その上で事実無根と認めなければ一門に入れないというのは一部の理事の意向ではないかと思います。もし、引退届を受け取った協会が話し合いの場を求めた場合はそれに応じてほしいんです。親方を応援したいという一門、親方はかなりの数いると思うんです。結論を急がさないほうが良いんじゃないかなと思うんです。僕は色んな話を聞いていて、そう思うんです。これは質問ではなく、お願いです……。

 はい。(深く頭を下げながら)

――告発状にまつわる協会との食い違い、という話ですが、それ以外にも過去の話を含めて協会に対して価値観の違いや考え方の総意を感じたことはありましたか。

 いえ、あの。協会の運営に一瞬でも携わったりとしましたが、価値観というよりも国技として、国を代表するスポーツでもない、神技である大相撲というものをいつまでも残しておきたいという気持ちであります。

――相撲人生の一つの区切りになるかと思いますが、今までの相撲人生を振り返っていかがでしたか。

 親方、師匠になって15年ほど過ぎて今に至りますが、現在、関取が3人いてくれて、若い衆が、弟子たちが皆元気な姿で相撲をとれているということに喜びを感じております。これまでの相撲人生でも弟子を育てるということの大変さもありますが、成長していく中での喜びは何物にも代えられないものであります。

次のページ
事実無根と考えるという文書について