【文豪の湯宿】「京都以上の文化」と絶賛 “知の巨人”が夫婦で通った宿 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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【文豪の湯宿】「京都以上の文化」と絶賛 “知の巨人”が夫婦で通った宿

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週刊朝日#旅行

米誌「LIFE」に「最も日本的な風呂」と絶賛された庭湯。源泉を「綿の湯」と命名したのが小林秀雄だった/みなとや旅館(長野県下諏訪町立町3532)

米誌「LIFE」に「最も日本的な風呂」と絶賛された庭湯。源泉を「綿の湯」と命名したのが小林秀雄だった/みなとや旅館(長野県下諏訪町立町3532)

小林(左)の娘と正子(右)の息子は結婚している

小林(左)の娘と正子(右)の息子は結婚している

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は小林秀雄の「みなとや旅館」(長野県・下諏訪温泉)だ。

【写真】白洲正子さんと小林秀雄さん

*  *  *
 昭和50年代、小林秀雄が妻を伴い何度も訪れたみなとや旅館は、江戸中期創業の老舗。心づくしのサービスをするために客は1日3組に限定している。「先生がふらりと来られるときに限って満室のことが多く、何度もお断りせざるを得なかった」と主は当時を述懐する。「怖い顔で睨みつけられたこともありました」

 それでも昭和の“知の巨人”は、「山のきのこが食べたい」などと何度も足を運んだ。3泊するのが常で、大好きな庭湯、近所の散策など、のんびりと過ごしていたという。

 昭和55年に白洲次郎・正子夫妻とともに宿泊した食事の席で、小林がふと漏らしたひと言を正子が絶賛した。「諏訪には京都以上の文化がある。下諏訪には鎌倉に似たよき路地がある」──この言葉は小林直筆の書となり、今も宿に掲げられている。宿自慢の庭湯に引かれる、千年の歴史をもつ源泉を神話に基づき「綿の湯」と命名したのも小林だった。

 宿の名物料理である馬肉料理、蕎麦ぞうすいはもちろん、信州の三大珍味と称されるザザムシ、蝗(いなご)、蜂の子の甘露煮も、酒を楽しみながら残さず食したという。(文/本誌・鈴木裕也)

「みなとや旅館」(みなとやりょかん)
長野県下諏訪町立町3532

週刊朝日  2018年9月28日号


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