ポール・マッカートニーの新作アルバムは“つまみ聴き”禁止!? (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ポール・マッカートニーの新作アルバムは“つまみ聴き”禁止!?

連載「知新音故」

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ポップで親しみやすいメロディーが満載の新作を出したポール・マッカートニー

ポップで親しみやすいメロディーが満載の新作を出したポール・マッカートニー

ポール・マッカートニーの新作『エジプト・ステーション』(キャピトル/ユニバーサル UICC-10040)にはボーナス・トラック2曲も収録。2枚組LPは21日に発売

ポール・マッカートニーの新作『エジプト・ステーション』(キャピトル/ユニバーサル UICC-10040)にはボーナス・トラック2曲も収録。2枚組LPは21日に発売

 ポールは「僕は『エジプト・ステーション』という言葉が好きだ。僕らがかつて作っていた“アルバム”を思い起こさせる」と語る。近年は、リスナーが気に入った曲を選び出してストリーミングで聴くのが主流となり、アルバムへの関心が薄れつつある。そうした実情への憂いと“アルバム”に込めた思いがうかがえる。

 ポールは「『エジプト・ステーション』は1曲目の駅から出発して、それぞれの曲がまるで違う駅のようなんだ。そのアイデアがすべての曲の元になっている。それは音楽が作り出す夢のような場所だと思っている」とも語っている。

 本作は統一されたコンセプトによるトータル・アルバムであり、“夢”のようなファンタジーといえそうだ。だが実際には、日常の出来事、若き日の思いのほか、社会風刺や平和を願うメッセージなどが盛り込まれている。ポール自身による収録曲の解説が公開されているのもうれしい。

 アルバムの冒頭を飾る「オープニング・ステーション」は本物の駅のSEにノイズなどを足して“夢の中の風景”を作りだした音のモンタージュ。駅のノイズに重なる聖歌隊のコーラスが幻想的だ。

 それに続くのが、先行シングルとして発表された「アイ・ドント・ノウ」と「カム・オン・トゥ・ミー」。

 前者は“ちょっと辛い時期を経験した後に書いた”という。思い悩む心情を物語るようなイントロのピアノが印象的。悩みの告白と、自身を励ますくだりでの歌、演奏が対比の妙を見せる。

 後者は“口説きソング”だといい、“60年代、どこかのパーティー会場で気になる子を見つけて「どうやってアプローチしようかな」と考えてる自分”を想像して書いたという。ざっくりとしたギターの音を含め、どこかノスタルジックなロック・ナンバー。ピアノは「レディ・マドンナ」風だ。

「ファー・ユー」も先行シングルの曲。ワン・リパブリックのフロント・マンでビヨンセなどに作品を提供してきたライアン・テダーがプロデュース。ポールが語るには“ちょっとダーティーなラヴ・ソング”だ。タイトルの“ファー/fuh”が“fuck”を想像させると物議を醸したが、ポールはビートルズ時代にもやっていた子供っぽいいたずらから「I just want to fuck you」とも解釈できるようにしたと語っている。レゲエ風な演奏からコーラス、キーボード類が重厚なサウンドを生み出し、やがてストリングスが登場し、サイケ時代のビートルズ、『サージェント・ペパーズ~』風のサウンド展開になるのが面白い。


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