所属するオーストラリアのAリーグ、メルボルン・ビクトリーの開幕戦は来月20日。同16日にはカンボジア代表がシンガポールと親善試合をする予定だ。中3日で約7千キロの移動という過酷なスケジュールだが、そんなことはこれからしばしば起きる。

「ワールドサッカーグラフィック」元編集長の中山淳氏は「チームは人と人とのコミュニケーションでできていく。だから、現地にいない本田が采配を振るうのは、うまくいく可能性が低い」という。それでも二刀流をめざす真意について、「本田とカンボジアのサッカー協会の双方に、メリットがある」と解説する。

「カンボジア側は、本田の知名度で注目度が上がり、スポンサー獲得を期待できます。本田は同国でサッカースクールをやっているので、それと連動してフル代表まで一貫した選手育成をしてもらう期待もある。一方の本田側からみると、彼のやりたいサッカーを子供からフル代表まで一貫して具現化できます」

 本田は、日本代表のハリルホジッチ元監督とめざすサッカーの方向性が異なり、いら立ちを見せた時期があった。自らの理想のサッカーを異国の地で実現し、引退後も見据えて指導者としての実績を積めるか。(岸本貞司)

週刊朝日  2018年9月28日号