「写真を見て気づく、または周囲に言われる、雨粒が頭皮に当たって気づく、などで初めて薄毛を意識する人が多いかもしれません」

 治療法は、外用薬や内服薬のほか、「自毛植毛」や近年登場した「光治療」など選択肢が広がっている。いずれも、保険外の自費診療だ。

 乾医師によると、日本人のAGA治療の主流は内服薬と外用薬だという。

 代表的な内服薬は「フィナステリド(商品名:フィナステリド、プロペシア)」だ。世界中でもっとも使われている内服薬で、2017年に日本皮膚科学会が新たに発行した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」の推奨度もランクA(おこなうよう強く勧める)。

 また、16年に登場した新しい内服薬「デュタステリド(商品名:ザガーロ)」もこの新ガイドラインにAGA内服薬として新たに加わり、同じく推奨度Aだ。

 デュタステリドは日本より韓国で先に発売され、現在はアジア圏を中心に台湾や南米などで発売されている。欧米では未発売だ。これは欧米人の髪質に合わないためではないかと乾医師は推測する。

「薬剤の効き方には個人差がありますが、日本人は内服薬で治療効果が出やすく、内服薬に外用薬を併用するパターンが多いです」

 フィナステリドは性機能障害の副作用も指摘されているが、デュタステリドは販売開始からまだ日が浅いため、副作用などの長期的な検討もこれからだ。

「デュタステリドはフィナステリドに比べて前頭部の毛髪に効き目が出やすい印象があります」(乾医師)

 外用薬はローションタイプの外用薬(ミノキシジル、商品名:リアップ)だ。ガイドラインでも推奨度Aとされている。

■光治療と内服薬の併用で効果アップ

 このほか、新ガイドラインでの推奨度はB(おこなうよう勧める)となった「自毛植毛」は、薄毛の人でも比較的しっかりと毛の生えている後頭部から、毛の薄くなった頭頂部や前頭部に毛包ごと自毛を移植する手術だ。

次のページ
新たな選択肢「光治療」