前川喜平さん。本連載では読者からの前川さんへの質問や相談を受け付けています。テーマは自由で年齢、性別などは問いません。気軽にご相談ください。
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写真はイメージです (c)GettyImages
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 文部科学省で事務次官を務めた前川喜平氏が、読者からの質問に答える連載「“針路”相談室」。今回は再婚を焦る女性からの相談です。

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Q:私は27歳で結婚し、1年で離婚してしまいました。バツイチになってから、自分の価値がとんでもなく下がったように思っています。

 元夫は付き合っているときには優しい人に思えたのに、結婚して一緒に住み始めると、驚くほど思いやりに欠けた人だとわかりました。私が病気を患ったときにも、彼は少しも優しくしてくれなかった……。

 離婚して2年が経ち、新たな彼ができました。私は彼と再婚したいと願っています。でも、彼から最近、「しばらく距離を置きたい」と言われてしまいました。

 私は一人っ子ということもあり、誰かと一緒にいないと不安で仕方ありません。彼にそれが伝わってしまったのか……。早く誰かと再婚して、落ち着きたいです。でもうまくいきません。(東京都・30歳・女性・会社員)

A:「離婚で価値が下がった」と考えるのは、あなた自身が、古い男性の価値観で自分を見ていることの証しではないでしょうか。「結婚するまで処女」なんて考え方と似たような価値観ですよ。むしろ離婚したことで、価値が上がったぐらいじゃないですか? だってその経験で、ずいぶん賢くなったでしょう。

 ……と偉そうに答えてしまいましたが、私自身は全くもってほめられた夫ではありません。私は妻が病気のときに真面目に看病したことがあるだろうか……。結婚は、お互いの日々の努力によって成り立っていると思いますが、私の場合、妻のほうがはるかに多く努力してくれていると思います。あなたのご相談に乗れるような資格は、正直言ってありません。

 ただ、私なりに考えてみますと、もし今の相手が「バツイチだと女の価値が下がる」と考えているのなら、それはろくな男じゃありません。離婚を経験として評価する男性は、必ずいると思います。

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前川喜平

前川喜平

1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う。

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