また、ソーシャルメディアには誰かの投稿に対してコメントしたり、「いいね!」で賛意を示したり、投稿を他者に拡散したりといった機能が付いている。こうした読者にアクションを促す機能がフィルターバブルやエコーチェンバーを加速させている面もあるだろう。そのような環境下にあるツイッターでは、他人に説得的な議論を展開することは非常に難しい。

 研究グループは、対立の解消が「ツイッター上では」難しいことを示しているものの、絶対に解消できないと主張しているわけではない。いま我々に求められているのは、意見が対立しやすい複雑な社会問題に対してソーシャルメディアの情報だけで判断するのではなく、新聞や書籍など「ツイッター以外の紙媒体」を読んで、じっくりと時間をかけて理解する態度ではないか。感情的に議論する前にやれることはたくさんある。

週刊朝日  2018年9月21日号

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津田大介

津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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