樋田容疑者の使用していた留置室から、小さな紙にカレンダー形式で留置管理の担当者名が記載され、逃走した8月12日に印が打たれていた紙が発見された。

 樋田容疑者が、留置管理の担当者から監視が緩む日を予測し、逃走Xデーを記した可能性が高い。

 富田林署の「検室」に問題があったのは明らかだ。

「当初は10日もあれば捕まるだろうと正直、思っていた」(前出・府警幹部)

 樋田容疑者は公園などで野宿できるタイプではなく、実家や知人宅などに助けを求めるだろうとみられていた。大阪市内などで樋田容疑者とされる人物が2件のひったくり事件を起こしたのは、8月13日夜。

 その日から大阪府警の捜査員は兵庫県尼崎市のあるマンションをマークしていた。樋田容疑者の知人の住まいで立ち寄るのではないかとみられていた。

「ある意味、マスコミは大阪市内のひったくりを追いかけている。こちらは注目されないし、樋田容疑者が現れればチャンスだと思っていた」(捜査関係者)

 だが、樋田容疑者が現れたのは知人が自転車を駐輪しているJR立花駅付近。自転車に<携帯電話の番号を書いて、置いてほしい>などと記されていた。

 そして、メモは読んだ後捨てるようにと書かれ、<敵には知らせないで>と警察に通報しないように求めていたのだ。

 知人はメモは捨てたが、その後に警察に通報したことでメモの存在が明らかになった。それでも、樋田容疑者の行方は今もわからず。ひったくりで得たカネを逃走資金にして遠方に逃げたことも考えられる。また樋田容疑者が「女装」しているという情報があり、さらに混迷を深めている。

「バスなら数千円で目立たず、かなり遠くまで行ける。樋田容疑者が逮捕前に関東に知人がいて、運転手のような仕事をしていたとの情報もあり、捜査網を拡大している。女装の報道後は繁華街で女装をしている変な人物がいるという通報もあります」(同)

 大阪の女装が趣味という人が集まる飲食店でも府警が聞き込みに来たという。

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樋田容疑者が女装している可能性は…?