上白石:最初は全然目立たなくて、端っこでセリフ一個を言ってたタイプだったんですよ。でも、メキシコに行って帰ってきてから、先生に「なんか変わったね」と言われました。それで今の事務所のオーディションを受けるようすすめられたんです。

林:「『東宝シンデレラ』オーディション」ですね。あのとき何歳だったんですか。

上白石 12歳です。

林:ティアラをもらってるところを、私、テレビで見ましたけど、まだこんなに小さいのにと思って……。

上白石:それをもらったのは妹(女優の上白石萌歌さん)です(笑)。

林:あら、妹さんでしたか。お姉ちゃんは?

上白石:私は審査員特別賞でした。妹は10歳でしたね。

林:審査員の方たち、12歳の萌音ちゃんとか10歳の妹さんを見て、よく将来を見抜くなと思いますね。

上白石:見抜くというか、育てていただいている感じですね。オーディションで何がよかったのかは、いまだにわからないですけど。

林:オーディションは、歌とダンスですか?

上白石:はい。歌が好きで好きでしょうがないという気持ちだけで、当時は受かりたいという欲はあまりなくて。まさか受賞するなんて思ってなかったので、すごく驚きました。

林:ご両親は、娘を芸能界に入れることに不安もあったでしょうね。12歳ですもんね。

上白石:妹なんて10歳ですからね。子どもですよね、二人とも。

林:そのあと東京の学校に来たんですか。

上白石:中学校3年間は、鹿児島から通ってました。

林:えー! 遠いじゃないですか。

上白石:遠かったです。日帰りで行き来することもあったし、宿題とかテストもあったので、行き帰りの飛行機の中ではずっと勉強したり。

林:妹さんも日帰りで東京に通ってたんですか。

上白石:はい。だからマイルがどんどんたまって、自動改札機を通るときに、ピッと鳴るじゃないですか。あのときの音が、小学生なのにクラスが高い音で(笑)。

(構成 本誌・松尾かすみ)

週刊朝日  2018年9月14日号より抜粋