(c)2017 TESSALIT PRODUCTIONS – ROUGE INTERNATIONAL – EZEKIEL FILMS – SCOPE PICTURES – DOURI FILMS(監督 ジアド・ドゥエイリ/TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開中/113分)
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 クエンティン・タランティーノ監督のアシスタント・カメラマンという経歴を持つレバノンのジアド・ドゥエイリ監督作『判決、ふたつの希望』が公開中だ。ベネチア国際映画祭で話題になり、アカデミー賞では、レバノン初となる外国語映画賞にノミネートされた。

【映画の場面写真はこちら】

 舞台はレバノンの首都ベイルート。ある住宅の補修工事を行っていたパレスチナ難民のヤーセルとキリスト教徒のトニーが、アパートの水漏れをめぐって諍いを起こす。このときヤーセルがふと漏らした言葉は、トニーの逆鱗に触れ、ヤーセルもまたトニーのある一言に尊厳を傷つけられる。やがてそれは法廷へと持ち込まれることに。

 両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げる中、この裁判に飛びついたメディアが大々的に報じたことから、些細な水漏れ事件は、国を巻き込む騒乱へと発展していく。

 法廷で次々と明らかにされていく、二人が抱える紛争や民族、政治、宗教といった繊細で複雑な問題。果たして、その行く末は……?

 本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★ 超オススメ、ぜひ観て
謝れ、謝らない、という男のメンツをかけた争いが国家的一大事へと発展してしまう可笑しさ。でも、そこが問題、と中東問題の重要ポイントを指摘しながら、過去の問題を掘り起こし、根の深さを示す作り方も巧い。

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