「大谷翔平の復帰プランに疑問」東尾修の意見

連載「ときどきビーンボール」

東尾修週刊朝日#東尾修
大谷よ、少しでも不安があれば、無理しないでほしい (c)朝日新聞社
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大谷よ、少しでも不安があれば、無理し...

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、エンゼルス・大谷翔平選手の復帰への道筋に疑問を抱く。

【写真】大谷よ、少しでも不安があれば、無理しないでほしい

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 エンゼルスの大谷翔平が、投手としてまもなくメジャーのマウンドに立つという。6月上旬に右ひじに張りを訴えて、検査した結果は右ひじ内側側副じん帯損傷。そこから手術の選択はせずに、PRP注射による治療法を選択した。

 血液から血小板を大量に含んだ血漿(けっしょう)を取り出して注入し、自己治癒力を利用した治療法で、自分の血小板で組織の修復や再生を図るため、副作用が少なく、アレルギーや感染症も最小限だとされるが、私は医師ではないので、効果がどれほどのものかはわからない。

 私が疑問に思うのは、3回の実戦形式の登板でメジャー復帰させる、そのプランだ。エンゼルスはもはや優勝の可能性はほぼない。それでも復帰させるのは、来季本当に投げられるのか、100マイル(約161キロ)を超える速球が投げられるのかという点をテストしたいのだろう。だが、いきなり本番の舞台というのは、どうだろう。いくら打者相手に投げているとはいえ、それはあくまで練習だ。練習のうちは力の配分を意識下に置いてコントロールできる。しかし、本番のマウンドは違う。

 ピンチになれば、投手は本能的に抑えたくなるし、体の動きは自然と大きくなり、指先にも力は入るものだ。その感覚はデータや数値では測れない。ブルペン投球の過程で球の回転数や球速をチェックしているというが、それはあくまで練習の中で、である。

 メジャーリーグでは、9月になればベンチ入りの枠が拡大される。第2先発をスタンバイさせることは可能だし、おそらく復帰登板は50球前後からスタートするのではないか。しかし本番では1球ごとの負荷は違う。一つずつ課題をつぶすように本番で投げられるか。私は心配でならない。

 大谷は日本ハム時代にもぶっつけ本番の経験があるが、それはあくまでマメの影響だった。それでも復帰後は肩、ひじには相当な負担がかかっただろう。マイナーでリハビリ登板しながら、投手としての段階を踏んでほしかった。いくら打者としての大谷をチームが欲していても、だ。

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