果たして15日間、土俵に立ち続けることができるのか…… (c)朝日新聞社
果たして15日間、土俵に立ち続けることができるのか…… (c)朝日新聞社
"ライバル不在"で、大関昇進に向け視界良好!? (c)朝日新聞社

「センス抜群で大崩れしないタイプ。けがさえしなければ大丈夫ですよ」

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 9月9日から始まる大相撲秋場所で大関獲りに挑む御嶽海について担当記者に聞くと、こんな答えが返ってくる。

 本人も自信満々で、新番付が発表された8月27日の会見では「ワンチャンスは一番得意」「(自信は)ある」「プレッシャーをはね返していきたい」と笑顔で語っていた。

 気になるのは自他ともに認める“稽古嫌い”だが、その辺りを突っ込まれても「いつもどおりの自分でいくだけ。自分流でここまで来たし、行けるところまで行く」と泰然自若としていたのが印象的だった。

 あまり稽古しないのに勝ち、安定感のある御嶽海の相撲は“角界七不思議の一つ”と言われている。「こっそり陰で稽古してる」との噂(うわさ)もあるが、「いやいや、やってない(笑)」と断言する声が専らだ。

 所属する出羽海部屋は名門だが一時期低迷。御嶽海は復活の手助けをしてほしいと口説かれて入門したそうで、その期待に応える大関昇進が目前となり、しかも長野出身の大関誕生となると伝説の力士・雷電以来223年ぶりとなる。

「地元テレビ局が密着マークしてますし、われわれも大関昇進原稿を準備中です」(ベテラン記者)

 ところで、秋場所の注目といえば、もう一人いる。自ら「次の場所で進退をかける」と言って久しい横綱稀勢の里だ。“連続休場”という年6場所制となって以降最長となる不名誉な記録を8場所まで更新してしまったが、その後の夏巡業には参加した。本人は「いい稽古ができた」と振り返っていたが、実際には土俵に上がらない日が多かった。

「誰に聞いても『15日間もたないだろう』という声が多いのが現実ですね」という前出ベテラン記者によると、故障の回復ぶりへの懸念があることはもちろん、何より不安視されているのはスタミナだという。

 確かに、先場所で途中休場して8月末から相撲を取る稽古を再開した栃ノ心ですら、「スタミナが全然ない。2カ月近く稽古してないから」と言っていたのを考えれば、15日間続く本場所を1年半近く完走していない力士が、もたないだろう、と言われてしまうのは仕方ない。

 おそらく本人が一番不安なはずで、夏巡業最終日の8月26日の「千秋楽まで頑張っていきたい」というコメントは稀勢の里の偽らざる本音だろう。(岸本貞司)

週刊朝日  2018年9月14日号