文科省A:首相直轄の総合科学技術会議を仕切る内閣府の科学技術・イノベーション担当の政策統括官も経産省に取られました。これまでポストはうちの旧科技庁系が座っていたのに……。東京医大の汚職事件で局長らが逮捕されるなど不祥事続きなので仕方ないですけど。官邸に近いポストは必ず介入してきますし、さすが経産省内閣というところでしょうか。

内閣府D:今井秘書官とべったりなのは、安倍首相だけでなく、菅官房長官もそう。ただ、官房長官周辺の指示はわれわれにもわかりやすい。政策重視の的確な指示が多く、「あ、これは菅さんの指示だな」というのがよくわかる。その一方で、首相周辺は、「首相のご意向」と言う割には、「本当に安倍さんが言っているのか?」「自分たちに都合よく忖度して言っているだけだろう?」と勘繰ることが多いですね。

財務省B:安倍内閣は安倍首相、菅官房長官ら政治家主導と言うけど、実際は官邸主導ですよ。安倍内閣になって、これまで各省庁が縄張り争いをやりながら、バラバラにやっていた政策を官邸に入った官僚たちが「首相の意向」を錦の御旗にして優先順位を決め、やりたい放題にやる官邸主導に変わったという言い方がしっくりきます。

内閣府D:しかし、政治案件の不祥事も多かったです。  

防衛省C:うちの日報問題は、内部でも真相はよくわかりませんよ。稲田元防衛相が国会でないと言ったおかげで、全く関係ない私たちの部署でも日報の書類が机にないか捜せと指示され、ずっと捜させられました。こうして仕事が滞ることはおかしいです。ただ、普通、文書なんて捨てませんよ。隠し通せるはずがありません。結局、稲田さんが辞め、小野寺防衛相になったけど、ダメージはそんなにありませんでした。その後、安倍昭恵首相夫人の森友疑惑で財務省が火だるまに、さらに加計学園の疑惑で文科省に飛び火し日報問題は埋没していったので、仕事に影響が出ず、助かりました。   

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