火葬施設関係者などでつくるNPO法人・日本環境斎苑協会(川崎市)は、12年度に全国の火葬場約1500カ所を対象にアンケートし、856施設が回答した。(1)火葬は告別式前か式後か(2)火葬後の収骨はすべてか一部か、を尋ねた。

 火葬を告別式後に実施する施設は508カ所で、式前は87カ所。式前は北海道から中部にかけてと、九州の一部だった。山梨と長野は、後火葬のみの施設がなく、前火葬が広がっているようだ。

 収骨方法をみると、すべての骨を骨壺に収める習慣が山梨、長野と関東以北で今も続く。福井、岐阜から関西圏は一部の主な骨だけを拾い上げる。関西よりも西の地域は全部収骨と部分収骨の地域が混在する。

 前出の武田さんは「山梨、長野は、かつて土葬文化が根強い地域だった。四十九日の法要や一周忌を待たず、土葬の際と同じように葬儀直後に骨を墓におさめるため、前火葬が定着した。昔の名残、人の移動に伴う異文化流入、近年の市町村合併など様々な要因が相まって、火葬は地域ごとに変化してきた」という。

 死や弔いについて光を当てれば、家族やふるさと、さらには生きることにも思いが巡る。個が尊重される時代とはいえ、家族や地域のつながりのありがたさもかみしめたい。(藤嶋亨)

週刊朝日  2018年9月7日号より抜粋