入棺体験などの終活イベントが各地で開かれている(写真と本文は直接関係ありません) (c)朝日新聞社
入棺体験などの終活イベントが各地で開かれている(写真と本文は直接関係ありません) (c)朝日新聞社
死亡場所、葬儀費用、火葬場数の地域差(週刊朝日2018年9月7日号より)
死亡場所、葬儀費用、火葬場数の地域差(週刊朝日2018年9月7日号より)

 今やすっかりおなじみとなった言葉「終活」。2009年の週刊朝日の連載で広く伝わり、12年の「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップテンに選ばれた。死への備えは、多くの高齢者がいずれ向き合うテーマ。死の迎え方や弔いのあり方には地域の風土や文化、しきたりの影響もある。都道府県による地域差を探った。

【図表で見る】死亡場所、葬儀費用、火葬場数の地域差

 経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、葬儀業の17年の売上高は約6112億円、取扱件数は約43万5千件。00年と比べ、ともに2倍超に増えた。1件あたりの売上高は、17年が約141万円。15年約144万円、16年約143万円と比べ、近年は下がる傾向にある。

「家族葬や、通夜・告別式を行わず火葬のみを執り行う『直葬』が増えている。特に、関東での葬儀単価の落ち込みが大きい」

 中部、関西、関東で葬儀会館を展開するティア(名古屋市)の松村直也さんはそう指摘する。

 1件あたりの葬儀費用を都道府県別にみると、1位福島164万円、2位富山と3位栃木がほぼ同額の161万円と続く。全国平均は114万円。都市部を比べると、7位愛知147万円、28位東京102万円、29位大阪101万円だった。

 ティアは17年末に実施した調査で、「自分の葬儀をしてもらいたいか」と尋ねた。回答者の49%が「はい」で、50%超が「いいえ」。一方で、配偶者や親の葬儀はしてあげたい人が80%を超えた。

「残された家族に迷惑をかけたくない思いから、葬儀は必要ないと考える人が増えている。一方で、残される家族は、供養のためや気持ちに区切りをつけたくて葬儀を望んでいる。実家から離れて暮らす家族も多く、だれを参列者として呼ぶべきかわからない家庭も少なくない。結果として、故人の思いと家族の思いとを折衷した、家族葬や直葬が増えている」(松村さん)

 お葬式とともに、火葬のあり方も地域差が大きい。

「例年、亡くなる方が増える冬場は式場や火葬場が混み合う。首都圏では、年間を通して、火葬場の空きが4~5日待たないと出てこない地域もある」

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