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都道府県別にみた主な死因の死亡率 1/2(2015年、人口10万対比/週刊朝日2018年9月7日号より)
都道府県別にみた主な死因の死亡率 1/2(2015年、人口10万対比/週刊朝日2018年9月7日号より)
都道府県別にみた主な死因の死亡率 2/2(2015年、人口10万対比/週刊朝日2018年9月7日号より)
都道府県別にみた主な死因の死亡率 2/2(2015年、人口10万対比/週刊朝日2018年9月7日号より)

 2017年に亡くなった人は、全国で約134万人と戦後で最も多かった(厚生労働省「人口動態統計」)。戦前も含めると、悪性インフルエンザ「スペインかぜ」が猛威を振るった1918年(約149万人)、20年(約142万人)に次いで多い。

【図表で見る】都道府県別にみた主な死因の死亡率

 17年の死亡数と出生数の差となる自然増減数は、約39万人の減少。都道府県別にみると、自然増は沖縄のみだ。日本は死亡数が出生数を大きく上回る「多死社会」に入っている。

 死亡数を死因別に見ると、1位悪性新生物(がん)、2位心疾患、3位脳血管疾患、4位老衰、5位肺炎。戦後このかた、がんの死亡者は増え続け、81年以降は死因トップ。死因全体の約28%を占め、3.6人に1人はがんで命を落としている。

 死亡率を都道府県別に比べる際、地域による年齢構成の差をそろえた数字が、より正確な実態を表す。

 がんの死亡率が最も高いのは、男女ともに青森。脳血管疾患も男性1位、女性3位と高い。青森は、平均寿命が男女ともに全国で最も短く、「短命県」として知られる。塩分摂取量の多さが課題のため、青森県庁は塩分を抑えてだしで味付けを工夫する「だし活」などを県民に呼びかけている。

 がん、脳血管疾患の死亡率は、青森、秋田、岩手など東北地方の県が上位に並ぶ。対照的に死亡率が低い県は、男性のがんは長野、山梨など中部地方、女性のがんは岡山、長野、徳島、香川など。心疾患は男女ともに、千葉、埼玉、奈良、和歌山など首都圏や近畿圏で死亡率の高い県がある。

 高齢者で特段の死亡原因がない自然死の場合、死因は老衰になる。男女ともに老衰の死亡率トップは静岡、2位三重で、中部地方が上位。最も低いのは男女ともに福岡で、九州地方は老衰の死亡率が低い。

 よく「ピンピンコロリ」と言われるが、苦しまず穏やかに死を迎えたいと願う人は多いだろう。内閣府が全国の55歳以上を対象に実施した「12年度高齢者の健康に関する意識調査」によると、治る見込みのない病気となった際にどこで最期を迎えたいかとの質問に、約55%が「自宅」と答えた。慣れ親しんだわが家こそ、穏やかな死にふさわしい場所のはずだ。

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