発案者のすごいところは、男性客の心理をズバリ見抜いていたことだ。

 歌舞伎町の店長は、こう説明してくれた。

「女の子にモテたくてウズウズしている。でも、ソープランドのようなど真ん中の場所には行きたくない。下半身目的のサービスではなくて、心のときめき、ドキドキ感を狙ったサービス業なんです」

 キャバクラに勤めるホステス、いわゆる「キャバ嬢」はどのくらい稼ぐのだろう。ルポライターの藤井良樹さんが2008年に出した『キャバ嬢「給与明細」のヒミツ』(講談社)によると、歌舞伎町の超トップクラスだと月収300万円超、時給換算で3万円は稼いでいたという。一晩で1800万円も売り上げ、その半分の900万円を手にしていた女性もいたというから驚いてしまう。

 高給を支えるのは四つの給与体系だ。

(1)保証時給制……人気の浮沈にかかわらず、一定期間の時給を保証する
(2)ポイントスライド時給制……指名や同伴をポイント化し、ポイント獲得数で時給を決める
(3)売り上げバック制……売り上げの数十%を給与に加算する。
(4)永久時給保証制……他店で実績のあったキャバ嬢などをスカウトする際、「時給1万円をずっと保証するから」などと好条件を提示する

 給与の支払いは「週払い」「半月払い」「月払い」と店ごとに異なる。税金対策なのだろうか、現金で手渡すのが主流である。「そんな大金を受け取って盗難に遭ったり、落としたりしたらどうするんだ」などと勝手な心配もしてしまうが、ほとんどのキャバ嬢は札束が入った封筒を無造作にハンドバッグに突っ込み、自宅に帰るという。まさに豪気な世界である。

週刊朝日  2018年9月7日号