「250万人が本当に避難を開始したら混乱するのは間違いない。無責任な計画で、現場を知らないお役所仕事だと言わざるをえない。それぞれの区が身近な場所に避難所をつくるなど、地道な対策を急ぐべきだ」

 住民も戸惑いを隠せない。墨田区立花二丁目仲町会の大嶋龍男町会長は、今回の計画について「不安だ」と話す。同地域は荒川に近く、大規模水害時には2週間以上の浸水が予想されている。

「自主的避難と言われても、近くに頼れる知人や親戚がいない人や、体の不自由な人もいます。広域避難をするのなら、国や自治体がもっと具体的にやり方を決め、訓練もしないと被害を防げないでしょう」(大嶋さん)

 今年は台風や豪雨、地震など災害が目立つ。被害を防ぐには、普段からの準備が大切だ。

「災害は忘れた頃にやってくる」

 今回の計画の問題点を忘れずに、行政の対応をチェックし続けないといけない。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2018年9月7日号