「苛立ち始めた金正恩氏がトランプ氏の反応を見ようとしたのかもしれません。11月の米中間選挙で苦戦が予想されるトランプ氏は、しばらく守勢に回らざるを得ません。しかし、北朝鮮が合意をご破算にして得することは何もありません。“圧迫カード”を小出しにしながら、経済制裁の緩和という実を得る戦略に出たのではないか」(裵氏)

 9月に大きな山場が来る可能性があると予告するのは、前出の辺氏だ。

「北朝鮮がNPT(核不拡散条約)に復帰し、IAEA(国際原子力機関)に核関連施設を申告するなど非核化に向けた措置を取れば、体制保証や朝鮮戦争の終結に道は開けるでしょう。北朝鮮は9月9日に建国70周年を迎えます。金正恩氏は、その日を視野に行動を起こすかもしれません」

 金正恩氏の硬軟織り交ぜた交渉術は奏功するのか。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2018年8月31日号