篠原:また春馬君もよけいにカッコつけてるんで、そこがダサくておもしろいんですよ(笑)。

林:淡路島から東京に転校してきたダッサい広瀬すずちゃん演じる「奈美」が、だんだんアカ抜けてカワイくなっていく過程もおかしい。コギャル時代の広瀬すずちゃんが大人になったところを、篠原さんが演じてますけど、こうやって見るとすずちゃんと篠原さん、似てますよね。

篠原:ぜんぜん違うんですよ、目も鼻も口も。だから申し訳ないと思って。すずちゃんはあんなにきれいでかわいいのに。

林:確かに、パーツをよく見るとそれほど似てないんだけど、雰囲気がすごく似てる。大人になった奈美さんは、自分が幸せなのか幸せじゃないのかわからない感じですよね。専業主婦で夫の収入はとてもいいし、夫自身もそんなに表立って浮気はしてないんだけど、娘は反抗期だし、ちょっと満たされなくって、夫にも言いたいことが言えない……。

篠原:幸せがあたりまえになっちゃって、幸せと感じなくなっちゃってるときですよね。

林:そのへん、すずちゃん演じる高校時代の奈美もそうですよね。周りに慣れなくてオドオドしてて。性格、変わってないなと思って。

篠原:撮影はすずちゃんたちのほうを先に撮って、あとから私たちの撮影をしていったんです。まずは、すずちゃんの映像を、「この子のクセはなんだろう。この子、引っ込み思案なんだな」とか、考えながら見たんです。その感覚をとっておいて、大人になってもあまりはっきりものが言えない感じとか、娘に「靴下とって」と言われて、思わずブラジャー渡しちゃうようなトボけたところとか、そういうディテールを表現できるように演じました。

林:すずちゃんと似てると思ったのは、そういうことだったんですね。

篠原:よかった。そこが、今回成功させたかったところなんです。

(構成 本誌・直木詩帆)

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号より抜粋