──野球は一瞬で勝負が決まる世界です。相葉さんが「この一瞬に集中」と思うのはどんなときですか。

 いつでも目の前のこと、今のことに集中するようにしていますよ。過去のことは考えても仕方がないし、先のことってなかなか難しいんですよね。刻一刻と世の中は変わっています。例えば携帯電話の進化ひとつとっても、10年前にこんな世の中になっていると誰も想像ができなかったと思いますし。先のことはわからないからこそ、どう臨機応変に対応していけるか。つまり、どれだけ今に集中できるかだと思うんですよね。

──では、将来の心配などはしないタイプですか?

 以前は、今後どうなるんだろう、と不安になることが多々ありましたけどね。例えば、2009年の、嵐が10周年を迎えたころには、嵐というグループがものすごい勢いで大きくなっていく感覚があって、そこに追いつくのに必死で、自分はなんとかぶら下がっているように感じていました。コンサート会場もどんどん大きくなり、その分お客さんもたくさん来ていただけるようになって、現場で感じるファンのみなさんの熱量も大きくなっていく。うれしい半面、不安でした。でも、あるときから、実力以上のことを求めても、それが成果につながるんじゃなくて、むしろ不安になるだけだと思えるようになったんです。だから今は、やれることをきちんと積み重ねることに集中していて、変に無理をしようと焦る気持ちはなくなりました。今夏の甲子園でも、一つひとつの試合やプレーに集中して、丁寧に伝えたいと思っています!

(取材・構成/本誌・直木詩帆)

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号