メインテナンスの重要性については、その効果が実証されています。予防歯科学の権威として知られる歯科医師のアクセルソンとリンデは歯周病で治療を受けた400人以上を対象に、メインテナンスを3カ月ごとに実施し、必要に応じて再治療をおこなった群と、3カ月ごとに検査だけをおこなった群(つまり、歯垢の除去や歯ブラシはすべて自分で対処)に分け、6年後の歯肉の状態を比較しました。

 その結果、メインテナンス実施群では約9割が歯肉の状態が改善または治療後の状態を維持できており、歯周病が進み、1ミリ以下または2~5ミリの歯周ポケットが確認された人は11%でした。

 一方、検査だけの群では歯周ポケットが確認された人は実に89%もいたのです。

 つまり、かかりつけの歯科医で専門的なケアをしてもらうことにより、歯周病で歯を失うリスクはぐんと減ります。このことを理解する人が増えてくれれば、歯周病にかかる人の割合は徐々に減ってくるでしょう。その日が早く来ることを願っています。

◯若林健史(わかばやし・けんじ)
歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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