2試合で27奪三振! 今大会注目度ナンバーワンの金足農・吉田(撮影・遠崎智宏)
2試合で27奪三振! 今大会注目度ナンバーワンの金足農・吉田(撮影・遠崎智宏)
大阪桐蔭「最強世代」を引っ張る、二刀流の根尾(撮影・加藤夏子)
大阪桐蔭「最強世代」を引っ張る、二刀流の根尾(撮影・加藤夏子)
2回戦で、根尾と「アベック弾」を放った大阪桐蔭の藤原(撮影・松永卓也)
2回戦で、根尾と「アベック弾」を放った大阪桐蔭の藤原(撮影・松永卓也)

 高校野球ファンは「甲子園を見るなら準々決勝」とよく言う。

【甲子園取材ライターが選ぶ! 3回戦注目の選手はこちら】

 レベルの高い学校同士の試合が1日4試合繰り広げられるからだ。それはその通りなのだが、その手前の3回戦も魅力たっぷりである。

 初戦の硬さが取れて、選手の疲労もまだ蓄積せず、どのチームも万全の状態で戦えるからである。大会12日、13日の「甲子園8強」のプライドを賭けて戦う8試合から、私なりの注目カード、選手をお薦めしよう。

 まず3回戦屈指の好カードが、大会13日第2試合の金足農(秋田)対横浜(南神奈川)である。

 金足農のエース吉田輝星は2試合連続2桁奪三振を記録。低めから伸びてくるストレートで見送り三振を取るのが彼の特徴だ。球速だけでなく「球の質」が他の投手より頭一つ抜けているように思う。秋田大会から甲子園大会2回戦まで全試合全イニングを1人で投げ抜いており、豪腕にして鉄腕、「平成最後の怪物」とたたえたい。

 吉田は「秋田代表として、全国の農業高校代表として、頑張りたい」と胸を張る。甲子園出場が決まってから、今や貴重な存在となった全国の農業高校から激励の電話がかかってくるそうだ。

 勝った後は選手全員が背中を反らせて声を張り上げて歌う「絶叫校歌」だ。昭和の時代から甲子園ファンの人たちには懐かしい光景ではないだろうか。

 対する横浜は言わずと知れた都会の私立強豪校。メディアの対応も慣れたもので、学校のカラーも選手のキャラも金足農と好対照である。強みは2試合で計15点を挙げている強力打線。ただその中で注目の四番打者万波中正が2試合全9打席無安打なのが気にかかる。本人は「焦りもあるんですが、心配していない」と言う。が、記者が「10打席ノーヒットで……」というと、すかさず「9打席です」と訂正を入れるあたり、やはり気にはしているようだ。万波の打棒がいつどのような形で目覚めるかも、注目したい。

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ベスト8へ生き残るのは?