見事な復活劇だった桃田賢斗 (c)朝日新聞社
見事な復活劇だった桃田賢斗 (c)朝日新聞社

 東京五輪までいよいよあと2年。そんな中、バドミントンの桃田賢斗(23)が8月5日に世界選手権の男子シングルスで日本史上初の優勝を飾った。桃田は決勝で開催地・中国のエースである石宇奇を圧倒しての完勝。地元の観客たちも桃田のあまりの強さに、試合途中からは静まり返ったという。桃田は決勝後、「腹筋を痛めて、スマッシュが打てなかった」と明かし、さらにその強さを印象付けていた。

 桃田の強さについて、スポーツライターの折山淑美さんはこう語る。

「腹筋を痛めて強いスマッシュを打たなかった中で、しっかり守って相手のミスを誘うというリー・チョンウェイなど過去のレジェンドを彷彿とさせる強さだった」

 ただ、ここまでの2年間の道のりは厳しいものだった。桃田は2016年4月、所属チーム・NTT東日本と日本代表での先輩だった田児賢一とともに、都内にある違法カジノ店に出入りしていたことが発覚。桃田は無期限の大会出場停止処分を受けた。その時点で、男子シングルスの世界ランキングは2位で、リオ五輪でもメダルを有力視されていた。17年5月に処分が解除されると、1年間のブランクがありながらも、国内大会で徐々に結果を出し始め、今年に入ってついに代表にも復帰。

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桃田が復活できたワケ