そう話す草笛さんの肌は艶やかで、声にも張りがある。写真撮影のときは自分から脚を上げたりと、好奇心旺盛な少女のように溌剌としている。今回、相手役を演じる松岡昌宏さんに対しては、5年前舞台で共演したときに、「あ、マイケルがいる!」と直感した。以来、5年越しのラブコールが実現した形だ。

「1年以上前になるかしら。松岡さんが『肉をご馳走するから』って、銀座に誘ってくださって、そのあと、私の知ってるバーに向かう途中で、『出る気ある?』って聞いたら『うん』って。銀ブラしながら、彼の意思を確認したんです。そんな、ぶっきらぼうなのに性根が優しい感じも、マイケルっぽい(笑)。舞台の中で、リリーとマイケルは、最初は喧嘩ばかりしていますが、あれは喧嘩によって活力が出ているのよね。いくつになっても刺激は必要。見終わってから、楽屋へいらっしゃる中高年の女性は、『私もマイケルみたいな若くて素敵な友達がほしいわ』って、たいてい羨ましがりますね(笑)」

舞台終盤、マイケルの「僕にとってあなたは、特別な人でした」という台詞を聞くたびに、自分が芝居をやっているのではなく、まさに自分自身の人生を生きているような気がして、毎回毎回、心からの涙があふれてくるのだという。

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号