草笛光子(くさぶえ・みつこ)/1933年生まれ。50年、松竹歌劇団に入団。松竹大船、東宝を経て多くの舞台、映像で活躍。音楽バラエティー「光子の窓」では司会、「ラ・マンチャの男」「シカゴ」の日本初演に参加する等、日本ミュージカル界の草分け的存在(撮影/写真部・小山幸佑)
草笛光子(くさぶえ・みつこ)/1933年生まれ。50年、松竹歌劇団に入団。松竹大船、東宝を経て多くの舞台、映像で活躍。音楽バラエティー「光子の窓」では司会、「ラ・マンチャの男」「シカゴ」の日本初演に参加する等、日本ミュージカル界の草分け的存在(撮影/写真部・小山幸佑)

 孤独とどう向き合っていくか──。ライフワークである舞台「6週間のダンスレッスン」を通して草笛光子さんは、そんな、人間にとっての永遠のテーマを追求している。草笛さんのもとに、この二人芝居の脚本が届いたのは、2005年のことだった。

「プロデューサーが、『いい作品があるんです。やりませんか?』と言って、置いていったのがこのホン(脚本)でした。読んでいくうちに、『あらやだ、私のことをこっそり観察しながら書いたみたい!』と思った。そのくらい、主人公のキャラクターは、私によく似ていました」

 海辺のコンドミニアムに住む68歳のリリーは、6週間でマスターできるというソーシャルダンスの出張個人レッスンを申し込む。やってきたのは、口が悪くてやんちゃだけれども、根は優しい青年、マイケル。互いに反発し合いながらも、レッスンを重ねるうち、二人は次第に心を通わせていく。

「2006年に初演して、おかげさまで評判も良く、すぐ再演になりました。今回は、4年ぶりの上演ですが、私はといえば、年はどんどん取っている(笑)。それに相手役、演出家、音楽、舞台装置、衣装と何もかもが変わるのは初めてなので、心配ですね。身体に染み込んでいる音楽や動きを払いのけながら新しいものに挑戦するのは、正直、怖いなと思う部分もありますし、心も身体も悲鳴をあげそう。でもいいの。プロデューサーからは、『おばあさんになっても踊るのが、哀愁があっていい』と言われているから(笑)」

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