「石破さんに『あなたはもう少し、永田町の国会議員たちとつき合いなさい。政策だけでは政権が取れないんだから、もっと人情を通じさせる必要がある』と言ったことがある。石破さんはお酒が強いんだからもっと人づき合いができるはず。ところが、本人は『そうなんだけど、私は……』とためらいがあるようだった。本人は夜飲みに行くより、コツコツ勉強していたいタイプなんだ」(同前)

 石破氏にとって、小泉進次郎氏から支持を受けるかどうかが大きなポイント。小泉グループだけで議員が約30人おり、影響力は多大だ。前回の総裁選では石破氏に一票を投じた進次郎氏の動向は気になる。

「進次郎は前回、投票前に石破支持を明らかにしようとしましたが、周囲の反対でできなかった。結果的には投票し終わってから石破さんに投票したことを明らかにした。進次郎は3年後の総裁選に出馬することを狙っている。だけど、次のことを考えても、安倍さんに投票することはあり得ない。どちらに投票したかは本人が語らないままになる可能性もある」(同前)

 大下氏は起こりうる可能性としてこう表現した。

「万々が一だけど、進次郎が投票前に石破に入れるということを明らかにしたら、無派閥の議員(73人)の中にも一緒に動く人が出て、そのときは石破票がどっと入るでしょう。党員票に大きな影響を与え、安倍首相といい勝負するところまでいける」

 安倍首相が9月の総裁選に勝利したとしても、前途多難ではあるという。

「安倍さんは3期目になるけど、さすがに4期目はない。それに森友・加計疑惑で説明責任を果たせという、国民の不信感が大きいから、3期目の終わりには安倍さんは力を失う可能性がある」(同前)

 そうなると首相の地位を禅譲するどころではない。

「だから、進次郎にとってはこれまでに大臣経験がなく、経験不足がネックとなっている。安倍陣営もそこは心得ていて、進次郎さんに自分を応援すれば大臣ポストがあるということくらいささやいているのではないかな」(同前)

 石破氏は記者会見で、進次郎氏の父・小泉純一郎元首相に触れた。

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「首相の道筋への一つの望み」とは