張本は既に昨年から活躍が話題になっていたが、今年に入るとその活躍に勢いが増している。今年1月の全日本選手権でリオ五輪の銅メダリストである水谷隼(29)を破って、最年少優勝。4月のアジア・カップで世界ランク1位の樊振東(中国)に勝利、6月のジャパンオープンで五輪連覇中の馬龍(中国)に勝利した。

 卓球コラムニストの伊藤条太さんは、恐るべき中学生に驚きを隠せない。

「全日本王者ですし、十分強いのはわかっていましたが、まさか今、(馬龍らに)勝つとは思わなかった。伸び方が凄い」

 張本の両親は中国出身で、ともに卓球をしていた。特に母親は、世界の覇権を握り続けている中国代表の一員だった。伊藤さんは、張本の強さの裏に母親の存在をあげる。

「お母さんに今年、お話を聞いたのですが、彼女は子供に卓球選手を目指させるつもりはなかったそうです。理由を尋ねると、『私は子供の頃、勉強もそこそこ出来たのですが、卓球の才能を見出され、勉強をあきらめました。卓球の道を選んだのですが、中国代表に選ばれるということは、世界一にならないといけません。私は世界チャンピオンになれなかったのが今でも悔しい』と目の前で涙を流したんですよ。さらにお母さんは『こんな悔しい思いをするなら子供には勉強させた方がいい』と最初は思っていたそうです。その後、張本が小学生の時に出た大会で高校生相手に見せた逆転劇をきっかけに、『この子なら世界一になるかもしれない』と考えが変わったそうです。張本選手はお母さんの負けず嫌いが遺伝してるのは間違いないでしょう」

 2年後、東京の舞台で、彼ら彼女らがどんな活躍を魅せるのか。待ち遠しい限りだ。(本誌・大塚淳史)

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