「全体での症例数が多くても、痔核ばかりで痔瘻の症例数が極端に少ない病院もあります。痔瘻の手術を受けるなら、痔瘻の手術実績が十分な病院を選ぶほうがいいでしょう」(岩垂医師)

 ベストな治療法を提供できるという点で、LE(結紮切除術)とALTA療法など、複数の治療法を手がけて、術式の症例数のバランスがとれていることも必要だ。

 医師が、内痔核治療法研究会や、16年に設立された日本臨床肛門病学会の会員であることも目安になる。

「日本臨床肛門病学会では、18年4月から技能認定制度の運用を開始しました。まだ、申請が始まったばかりですが、今後、技能認定医・技能指導医の資格が公開できるようになれば、医師選びの際の判断材料になるでしょう」(同)

 治療法や治療の時期は、肛門の状態や患者の年齢、ライフスタイルなどを考慮して決められる。受診の際には、今は忙しいのでひとまず症状を抑えたい、長年苦しんだので根治療法を受けたいなど、治療のゴールをはっきりさせて、どのような治療を受けたいかを医師に伝えよう。慎重に病院選びをして、自分に最適の治療を選び取りたい。

(文/別所文)

■表の見方
・痔核手術数合計
2017年1年間(1~12月)に実施された結紮切除術のみ、結紮切除術とALTA療法の併用、PPH、分離結紮術の手術数を合計した。

・結紮切除術
2017年1年間(1~12月)に実施された結紮切除術のみの手術数。

・うちALTA併用療法
結紮切除術とALTA療法を併用して治療した2017年1年間(1~12月)の症例数。

・痔瘻手術数合計
2017年1年間(1~12月)に実施された切開開放手術、括約筋機能温存術、シートン法の手術数を合計した。

・括約筋機能温存術
2017年1年間(1~12月)に実施された括約筋機能温存術の手術数。

(注:日帰り手術のみおこなっており、入院が必要な手術は他院へ紹介している病院もあるため、詳しくは各病院に確認してほしい)

週刊朝日 8月10日号