第2期は素人目にもわかりやすい症状が多く、この時期に受診する患者が多い。ただ、尾上医師によると、最近は1期と2期がはっきり分かれず、1期にバラ疹などの皮膚症状、2期に陰部の症状がみられるケースもあるという。第2期でも、症状だけは自然に消え、潜伏期に入る。放置していると約3年で発疹から潰瘍などができ(第3期)、さらに10年ほどすると心血管や神経系の病気にまで進む(第4期)が、現在では第3~4期はほとんどみられない。

 このような梅毒の治療は、日本では抗菌薬の内服が中心になる。海外では、梅毒治療といえばペニシリンの筋肉注射を1回受ければすむのが常識。しかし、1950年代にペニシリンの筋肉注射による死亡事例を経験した日本では、今も梅毒治療に使うことができない。抗菌薬の服用は最長で12週間(第3期以降は8~12週間)続ける必要があり、途中でやめてしまうと、感染を広げるケースもあり得る。

「抗菌薬の服用期間は、第2期では4~8週間ですが、第1期なら半分の2~4週間ですみます。第1期で、短期間のうちに治してしまうため、疑わしい性交渉があれば、その『3週間』後をめどに、自覚症状がなくても、性感染症の専門医に診てもらうのがよいでしょう。梅毒早期発見のキーワードは『感染機会から3週間』と覚えておいてください」(尾上医師)

(文/近藤昭彦)