帰省シーズンは、子や孫を迎えに来る高齢者で駅や空港は賑わう (c)朝日新聞社
帰省シーズンは、子や孫を迎えに来る高齢者で駅や空港は賑わう (c)朝日新聞社

「お盆玉あげるから、夏休み帰っておいで」。盆休み、こんな言葉で子や孫を誘っていたら要注意。お願いされるとついつい、子どもや孫を甘やかしていないだろうか。

 多額の援助をする人の多くは、純粋に家族のためを思っている。もちろん、その親心自体は悪いことではない。子や孫への金銭的な援助は、ひと昔前は当たり前だったのかもしれない。

 だが、年金受給開始年齢が上がり、額も減りつつある上に、平均寿命は延びている。社会事情が異なる中で、ひと昔前と同じことをしていたら、たちまち家計が圧迫されるという現実を直視しないといけない。

 実際、今は年金生活に入ると貯金を取り崩して不足分を補う人が多い。ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんによれば、60歳以降に、「収入ダウンの崖」が3回存在するという。

 一つが60歳の定年時。再雇用で働いたとしても、収入は大幅にダウンする。2回目が仕事を完全にリタイアし、年金生活に入ったときだ。総務省の家計調査(17年)によれば、年金生活夫婦の年間赤字額は、約65万円程度。夫婦の実収入が250万円程度なのに対し、年間支出が316万円程度かかっている計算だ。これに住宅修繕費や病院にかかる費用など、特別支出も踏まえると、年間100万円を超える勢いで、貯蓄が減っていく。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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