親に高齢者ホームや賃貸住宅に引っ越してもらうこともできる。高齢者ホームは高級な分譲タイプや特別養護老人ホーム(特養)、グループホームなどいろいろある。費用や健康状態を考慮して選ぼう。

 介護が必要なければ、通常の賃貸住宅に移ってもいい。かつてと違い、高齢者でも借りられる賃貸物件は増えている。大家が認めてくれれば、子どもの名義で借りて親に住んでもらうことも。子どもがマンションを持っていればそこに呼び寄せて、子どもが新たに賃貸物件に移る方法もある。選択肢は様々あるので、持ち家に固執する必要はない。

『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)の著者で住宅ジャーナリストの榊淳司さんは、早めの決断が有利だという。

「最近では『ゼロ円で住まいを譲ります』などと呼びかける物件仲介サイトが現れています。買い手のつかないリゾートマンションなどを『維持費3年分の手数料で引き取る』ビジネスを展開する企業まであります。所有者がお金を払ってでも処分したいと考える物件が、出始めているのです。持ち家は価値があるうちに早めに売って、賃貸物件などに移ることを考えましょう」

 いずれにしても欠かせないのが、家族みんなの合意だ。対策のポイントを下の表にまとめたので参考にしてほしい。顔を合わせるこのお盆休みに、実家を将来どうするのか、本音で語り合ってみよう。

【対策のポイント】
・元気なうちに家族と相続や処分方法を話し合う
相続や処分方法を巡ってもめることが多い。将来に備えて遺言を残したり、民事信託制度を活用したりすることも検討

・空き家のまま放っておくのが一番危ない
火事や近隣トラブルなど思わぬリスクも。「特定空き家」に指定されれば固定資産税のアップや強制撤去の恐れ

・空き家の管理は大変。お金も手間も必要に
誰も住んでいなくても固定資産税はかかる。水道や電気・ガスなどの基本料金を支払う必要もある。空き家は建物の劣化が早い

・処分にも解体費やリフォーム代が必要
首都圏の住宅の解体には100万~200万円程度はかかる。資金の準備も必要だ。売却や賃貸には「空き家バンク」など国や自治体の制度も利用

・わからない点は専門家に相談
自治体やNPO法人などが相談窓口を設けている。税理士や司法書士らによる無料相談会も開かれている

(本誌不動産取材班)

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号より抜粋