(c)朝日新聞社
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対策のポイント(週刊朝日 2018年8月17-24日合併号より)
対策のポイント(週刊朝日 2018年8月17-24日合併号より)

 15年後には3軒に1軒が空き家になると予測され、住宅が余る時代がすぐそこまで来ている。それなのに、高齢の親が住んでいる実家が将来空き家になりそうでも、なかなか処分できないのも現実だ。

【図表】放おっておくと危ない!空き家対策のポイントはこちら

 親が亡くなる前から、準備できることはいろいろある。

 不動産コンサル会社K-コンサルティングの大澤健司社長は、「不動産相続の相談窓口」というネットワークに加盟し、多くの事例を見てきた。空き家問題は相続と切り離して考えることはできないという。

「仲の良かったきょうだいも、親が亡くなり実家をどう分けるかという段階になると、意見が食い違うことがよくあります。亡くなる前に遺産をどう分割するか、家族で話し合っておきましょう」

 もめない対策の一つとして、「民事信託」制度もある。親族間で財産管理を受託できる信託契約で、信託された子は親の代わりに財産を運用したり、使ったりできるようになる。親が認知症になったとしても、スムーズに相続できる。

「民事信託は、建物だけ、土地だけといったように、資産ごとに信託契約を結べる点もメリットです」(大澤氏)

 遺言を書いて、誰にいくら残すかを明確にしておくことも重要だ。

「要は元気なうちに、どうするかを考えておくことです。『まだ先のこと』だとして、何もしないでいるのが一番よくない」(全国空き家相談士協会の林会長)

 遺産が実家しかない場合は相続放棄を選ぶ手もある。被相続人が亡くなってから3カ月以内に、戸籍謄本などをそろえて家庭裁判所に申請すれば、自分で手続きできる。誰も引き取り手のいない家や土地は国のものになる。

 相続放棄では、すべての資産を放棄することになる。現金だけ相続し実家は放棄することはできないので、よく考えて実行しよう。

 実家に親が住んでいても、早めに売ったほうがいい場合もある。

 ここまで見てきたように、空き家になってから売ろうとしても、買い手を見つけるのは難しい。家族で将来を話し合い、実家が希望価格で売れそうなら、二世帯住宅を新たに建てて呼び寄せると安心だ。

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