四季折々の自然の風景の変化の中、山を眺めその空気を吸い浩然の気を養ってくる。気分転換以上に、元気さをもらえる感じがする。その他、5月と11月の年2回、南会津に囲碁合宿のために出掛け、仲間と自然の中で囲碁ざんまいの数日間を送る。青葉若葉の頃、春ゼミの声に耳を傾け、また晩秋紅葉で木々が彩られた会津高原での滞在は、至福の時である。身体から改めて力が湧いてくる気がする。

 昔の山仲間や教え子たちなどとの旅行にも、年数回出掛ける。決まった場所でないだけに、見知らぬ土地を訪ねられそれはまた楽しい思い出となる。がんが活発に動きだした2018年以降の5月、6月にも姫路城・赤穂へ2泊、そして箱根へ1泊で旅を家内ともども楽しんできた。がんのことは一向気にならずに、元気で動き回った。昔話に花が咲き、一瞬にして昔に戻れるのが、醍醐味といえよう。
 
■脳の活性化と老化防止になる「囲碁」

 がん生活を始めたら、全体に趣味の世界を楽しむべきである。これがないと厳しい抗がん剤治療などを続けることは難しい。これまで述べてきたさまざまな活動のほかに、すっかり公職を離れ時間に余裕ができるようになった頃、囲碁を始めた。気の置けない仲間が多く対局を通じて交流を密にしている。やはり如水会の仲間との囲碁会での付き合いが多い。如水囲碁同好会そして昭和42年度卒業の囲碁愛好会などの例会に顔を出し、いろいろな棋力の人たちと対局し囲碁を楽しんでいる。

 また日本棋院の囲碁教室で仲よくなった仲間もいる。毎週1回午前中の講義の後、昼食を一緒にし午後は自由に対局をするスケジュールができあがっている。囲碁は勝ってもよし負けてもよし脳の活性化に役立ち、老化防止にいいのではないかと考えている。

◯石弘光(いし・ひろみつ)
1937年東京に生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大学院を経てその後、一橋大学及び放送大学の学長を務める。元政府税制会会長。現在、一橋大学名誉教授。専門は財政学、経済学博士。専門書以外として、『癌を追って』(中公新書ラクレ)、『末期がんでも元気に生きる』(ブックマン社)など

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石弘光

石弘光

石弘光(いし・ひろみつ)1937年東京に生まれ。一橋大学経済学部卒業。同大学院を経てその後、一橋大学及び放送大学の学長を務める。元政府税制会会長。現在、一橋大学名誉教授。専門は財政学、経済学博士。専門書以外として、『癌を追って』(中公新書ラクレ)、『末期がんでも元気に生きる』(ブックマン社)など

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