文科省の前科学技術・学術政策局長の佐野太(ふとし)容疑者が収賄罪で起訴された際、本誌が同大学関係者に聞いた時には、入試で2次試験の面接の受験生名簿を臼井正彦・前理事長が眺めると聞いたことがあったという。

 宮沢学長代理は「全く不正のないクリーンな入試を目指していきたい」としているが、一連の不正事件で信用は凋落した。

 先に行われた内部調査委員会の会見では、「長き悪しき慣行」と指摘された。長年にわたる差別を根本からなくすためには、試験の合否に必要のない性別や浪人の記録を一切考慮に入れない対策を具体的に示されなければ、受験者の疑念は払拭されないだろう。

 他にも疑惑が残る。報道陣に、行岡常務理事を含めて現執行部がこれまでの不正入試に一切関与していな証明ができるのか、という質問に対してはこう回答した。

「我々は関与しておりません。全く承知しておりませんでした。ないことを物的に証明するのはなかなか難しいかと思います」

 再発防止として外部による「入試監査委員」を立ち上げ、「入学試験選考委員会」から学長、副学長、副学長候補を構成員から外し、独立性を担保する方針だ。

 臼井前理事長を筆頭に“白い巨塔”を彷彿させるような気質を改革する決意が、今の同大学幹部にどこまであるのだろうか。

 この問題を受け、文科省の林芳正大臣は全国の医学部で入試が公正に行われているかどうかを調査するよう指示した。(本誌 岩下明日香)

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