建設中の新国立競技場 (c)朝日新聞社
建設中の新国立競技場 (c)朝日新聞社
野村萬斎氏 (c)朝日新聞社
野村萬斎氏 (c)朝日新聞社

“スポーツの祭典”をプロデュースする布陣に期待が高まっている。2020年東京五輪・パラリンピックの開閉会式を演出する総合統括に、狂言師の野村萬斎氏が就任した。教育評論家の尾木直樹氏はこう語る。

【写真】総合統括に決まった野村萬斎氏

「野村さんは日本古来の伝統と未来を融合させるような演出が期待できそうです。『復興五輪』というテーマもうまく表現してくださるでしょう」

 東京五輪のイメージアップに余念がない大会組織委員会だが、連日の災害級の酷暑に戦々恐々だ。真夏の東京での開催に世界各国から心配する声が上がり、五輪関係者は暑さ対策に躍起になっている。

 例えば、東京都はマラソンや競歩コースなどに特殊な道路舗装を実施。太陽光の赤外線を反射し、路面温度の上昇を抑制させる「遮熱性舗装」などを行う。計136キロを整備し、8~10度程度上昇を抑制する効果があるという。

「街路樹の整備や、人が集まるところに庇を付けるなど日陰を増やす対策にも取り組んでいます。送風機やミストシャワーなどで、涼が取れるスポットも確保していく予定です」(東京都オリンピック・パラリンピック準備局)

 暑さ対策は、競技日程にも及ぶ。マラソンは午前7時、競歩(男子50キロ)は午前6時の早朝スタートになった。スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏が怒る。

「根本的な解決になっていません。IOC(国際オリンピック委員会)も組織委もアスリートファーストと言いながら、選手たちの生命を危険に晒そうとしている。暑さ対策など本末転倒です。マラソンを朝7時にスタートするとすれば、3時ごろに起床することになる。そんなことを強いれば、本来の実力が発揮できないどころか、体調を崩す選手も出る恐れがあります」

 国内外から1千万人以上が集まると見込まれ、渋滞など交通機関が麻痺することも懸念されている。交通対策を行わなければ、例えば首都高速の渋滞は現状の2倍近くまで悪化が予想される。鉄道の利用者も9%増えると見込む。都の輸送担当者はこう説明する。

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