「定員との比較で、入居率がわかります。オープンから1年以上経っているのに、入居者が定員の50%を切っているようなホームは、経営的にも不安定であることが多いので注意が必要です」(前出・濱田さん)

 またスタッフの項目には、常勤、非常勤、それぞれの職種と人数のほか、勤続年数や資格の有無なども記載。

介護付きホームの場合、人員配置は、入居者3人に対して職員1人の3:1が国の基準ですが、これでは要介護度の重い入居者が増えてくると、対応できません。介護目的なら少なくとも2:1以上は必要です」(同)

 高齢者ホームで働いた経験のある濱田さんは、パンフレットや重要事項説明書の建物の項目で、こんなところもチェックするという。食堂の数と配置だ。

「食堂がどこか一つのフロアにしかない、縦に長い建物では、食事時のエレベーターが渋滞し、入居者が車いすのまま何時間も待たされるホームもあります。介護実務を知らずに、建築コストのみを考えてつくられたとしか思えません」(同)

 重要事項説明書ではほかに、労働環境が見えてくるスタッフの定着率も、忘れずにチェックしておきたい項目となっている。

 事前にできるリサーチとして、口コミの評判チェックがある。要介護認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーなどに聞くと、ホームの意外な評判を聞けることもあるそうだ。(ライター・福光恵)

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号より抜粋