『「老人ホーム大倒産時代」の備え方』(扶桑社)の著書もある濱田さんによれば、国の制度の不備や資産運用を目的とした素人運営者の増加などで、入居者や介護スタッフを集められない高齢者ホームの倒産は増えている。10年後までに、なんと「半分が倒産」する可能性もあるという。

 終のすみかと決めたホームが倒産の憂き目に遭えば、サービスはストップして安住の地は一転、命を脅かす存在にもなりかねない。ここは早めの準備で備えたい。

 まずは高齢者ホーム選びの基本のキから。高齢者ホーム選びの相談所「あいらいふ入居相談室」の秋葉原相談室・末木篤司室長に、レクチャーしてもらおう。

「まず候補を決めるのは、(1)ケア(2)エリア(3)予算という3要素。本人にとってどんなケアやサービスが必要なのかをしっかり見極め、希望のエリア内に範囲を狭めて、必要な機能を持ったホームを探します」

 ケアは、現在、または将来、どんなケアが必要かによって決定する。エリアは、長年住んでいた町の近くや家族が行きやすい場所を候補にする人もいれば、自然のなかでのんびり暮らしたいと、緑の多い郊外などをあえて選ぶ人もいる。

 優先順位の上位に置かざるをえないのが「予算」だ。費用の割り出しは、「100歳まで入居する」と仮定。その施設の入居一時金のほか、家賃、管理費、食費、介護保険自己負担金、医療費など、毎月必要となる費用に、100歳になるまでの月数をかけて、生涯でその施設に払う大まかな費用を割り出す。

「将来、介護度や社会情勢が変化することなども考えられるため、手持ち資金のギリギリではなく、少なくとも生涯予算の1.1倍、1.2倍くらいの資金は必要と考えるのがいいでしょう」(末木さん)

 例えば、80歳が100歳まで生きるとなんと240カ月。仮に、敷金や入居一時金なしで、月額費用25万円なら、100歳までの年金や預貯金を合わせて、ギリギリでも6千万円が必要になる計算だ。

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