危険タックル問題で揺れる日大のドン、田中英寿理事長(71)。本誌は2人の“蜜月”ぶりを証明する動画を独占入手。撮影されたのは15年ごろで「第93回全国学生相撲選手権大会」で日大相撲部が団体優勝をした際の祝勝会での一コマだ。

 田中理事長夫妻の隣に、真っ白なスーツ姿の山根会長が立ち、「よいしょ」と仲良く樽酒の蓋を木槌で割る姿が映っていた。

 山根会長は12年ごろから日大「桜門ボクシング会」常任顧問を務め、今年4月から日大の客員教授にも就任している。前出の澤谷氏によれば、数年前から、知人の紹介で田中理事長と親しくなった。

「田中先生とは昔からの知り合い。向こうは相撲を五輪競技にしたいと頑張っており、田中先生は男や。ワシが日大桜門ボクシング会の常任顧問になり、より親しくなった。田中夫人が経営するちゃんこ鍋屋にも行ったよ。そんな縁で田中理事長から客員教授になってほしいと推薦があったようで、OKしたんや」(山根会長)

 ところが、山根会長は、まったくボクシング経験がないという。

「山根とは60年以上の付き合いやが、ケンカは人より強い。しかし、ボクシングなんてやったことない。連盟の会長になってからもワシを何度も訪ねてきて、他の役員と一緒のときもあった。なんで指導者、会長なんか不思議に思っていた」(前出の元暴力団M組長)

 一方、山根会長はこう反論する。

「父親がボクシングジムをやっていた。選手ではなかったが手伝っていた。素人なら連盟の会長になれない」

 盟友の田中理事長も追い詰められている。日大の元副総長ら4人が会見を開き、田中理事長含む理事32人全員に対して辞任を要求した。元副総長はこれまでに田中理事長に会見を開くよう直接、促したという。

 だが、田中理事長は「俺は何も悪いことはやっていない。だから皆の前で謝る必要はない」と拒否したという。厚顔で無敵な2人のドンの行く末はいかに……。(今西憲之)

週刊朝日  2018年8月17-24日合併号

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら