近江のエース金城登耶 (c)朝日新聞社
近江のエース金城登耶 (c)朝日新聞社
滋賀大会5試合のうち3試合で先発した近江の林優樹 (c)朝日新聞社
滋賀大会5試合のうち3試合で先発した近江の林優樹 (c)朝日新聞社
急成長を見せる近江の佐合大輔 (c)朝日新聞社
急成長を見せる近江の佐合大輔 (c)朝日新聞社
第83回大会出場の近江には「三本の矢」と称された竹内和也、島脇信也の二枚看板と右横手投げの清水信之介がいた。3人の継投は滋賀県勢初の決勝に進む原動力となった
第83回大会出場の近江には「三本の矢」と称された竹内和也、島脇信也の二枚看板と右横手投げの清水信之介がいた。3人の継投は滋賀県勢初の決勝に進む原動力となった

 春夏連続出場の近江(滋賀)が7日、選抜準優勝の智弁和歌山から金星を挙げた。近江は選抜で登板した林優樹、金城登耶に、急成長した佐合大輔らの継投で勝利をもぎ取った。近江の継投といえば、第83回(2001年)で決勝に進出した「三本の矢」を思い出す高校野球ファンも多いだろう。100回大会では新「三本の矢」で当時の再現なるか。

【写真】新「三本の矢」として注目の選手と、当時「三本の矢」と称された選手はこちら

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 近江の見事な継投策がはまった。

 プロ注目の林晃汰(3年)を中心とした強打の智弁和歌山に対して、近江の多賀章仁監督が先発に送り出したのは、滋賀大会で1試合1イニングに登板した松岡裕樹(3年)。その松岡が2回に先制を許すと、早くも継投に入る。「少し早かったかもしれない」と多賀監督は振り返ったが、3回からマウンドに上がった背番号18の左腕林優樹(2年)が、智弁和歌山へと傾きそうな流れを断ち切る。

「後ろに佐合(大輔)さんと金城(登耶)さんの3年生二人がいるので、最初から飛ばしていけた」

と林。

 近江は、主に林、佐合、金城の3人が大車輪の継投で滋賀大会を制した。5試合のうち実に4試合を継投で勝ち進んだ。滋賀大会では林が3試合に先発。チェンジアップをはじめとした変化球を巧みに操り、打たせて取る投球で打者を翻弄した。エースの左腕金城は140キロ台の速球を武器に、滋賀大会では3試合を抑えで登板した。そして成長著しい右腕の佐合は、滋賀大会で4試合に登板。13イニングを投げ、21奪三振、与四死球はたったの1、2失点は上出来だろう。滋賀大会3回戦の甲西戦(5回コールド勝ち)は、参考記録ながら完全試合を収めた。

 7日の智弁和歌山戦の林の投球で効果的だったのがチェンジアップ。「これまで左打者に対しては使ったことがなかった」というが、

「対戦相手が智弁和歌山に決まってから練習しました。捕手の有馬(諒)と話し合って、左打者のインコースに落ちる球はこれだと思って」

 5回には智弁和歌山の左の強打者林を三振に打ち取っている。

 近江は林の好投がリズムを生んだか、4回に同点の2点本塁打、5回にはソロ本塁打で勝ち越し。強打の智弁和歌山のお株を奪う空中戦で、試合の主導権を握った。

 6回途中に林がピンチを背負うと、佐合大輔(3年)がマウンドへ。

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チーム「三本の矢」の誕生