まず頼れる医師・病院選びの目安になるのが手がけた手術数だ。症例数が多ければ経験値も高く、さまざまな事態への対応力も高い。肛門を専門に診る病院では、痔核も痔瘻もどちらも手がけるのが一般的だ。

 日本臨床肛門病学会理事長で、岩垂純一診療所所長の岩垂純一医師はこう話す。

「簡単な言い方をすれば、痔瘻の手術は痔核の手術よりむずかしい。痔瘻もしっかり実績を積んでいる病院なら、技術的に確かだといえるでしょう」

 年間、合わせて300~400例、そのうち痔瘻の症例が50例以上なら、頼れる病院といえるだろう。最低でも年間100例の症例数がほしい。

「全体での症例数が多くても、痔核ばかりで痔瘻の症例数が極端に少ない病院もあります。痔瘻の手術を受けるなら、痔瘻の手術実績が十分な病院を選ぶほうがいいでしょう」(岩垂医師)

 ベストな治療法を提供できるという点で、LEとALTA療法など、複数の治療法を手がけて、術式の症例数のバランスがとれていることも必要だ。

 医師が、内痔核治療法研究会や、16年に設立された日本臨床肛門病学会の会員であることも目安になる。

「日本臨床肛門病学会では、18年4月から技能認定制度の運用を開始しました。まだ、申請が始まったばかりですが、今後、技能認定医・技能指導医の資格が公開できるようになれば、医師選びの際の判断材料になるでしょう」(同)

 治療法や治療の時期は、肛門の状態や患者の年齢、ライフスタイルなどを考慮して決められる。受診の際には、今は忙しいのでひとまず症状を抑えたい、長年苦しんだので根治療法を受けたいなど、治療のゴールをはっきりさせて、どのような治療を受けたいかを医師に伝えよう。

 慎重に病院選びをして、自分に最適の治療を選び取りたい。(ライター・別所文)

※週刊朝日 2018年8月10日号より抜粋