肛門の構造と痔の種類 (週刊朝日 2018年8月10日号より)
肛門の構造と痔の種類 (週刊朝日 2018年8月10日号より)
頼れる病院・医師選びのポイント (週刊朝日 2018年8月10日号より)
頼れる病院・医師選びのポイント (週刊朝日 2018年8月10日号より)
内痔核の症状分類 (週刊朝日 2018年8月10日号より)
内痔核の症状分類 (週刊朝日 2018年8月10日号より)
痔核・痔瘻の治療法 (週刊朝日 2018年8月10日号より)
痔核・痔瘻の治療法 (週刊朝日 2018年8月10日号より)

 いぼ痔(痔核)もあな痔(痔瘻[じろう])も、切れば治るというものではない。ひとたび術後の合併症が起これば、その後の排便がスムーズにいかなくなる。合併症の回避には、高い技術が必要になる。いい医師・病院を選ぶにはどうすればいいか、そのポイントを紹介する。

【図】頼れる病院・医師選びのポイントはこちら

 肛門のおもな病気には、いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、あな痔(痔瘻)がある。痔核が約60%、裂肛と痔瘻がそれぞれ約15%を占め、痔核は40代以降の人なら、だれでも持っているといわれる。

 痔核は、肛門の開閉にかかわる「クッション部分」を支える支持組織が弱くなり、クッション部分が緩んで大きくなったものだ。肛門には、直腸粘膜と肛門上皮を分ける歯状(しじょう)線という境界があり、歯状線の内側にできる「内痔核」と、歯状線の外側にできる「外痔核」がある。内痔核に外痔核をともなうことが多く、出血、脱出(痔核が肛門から出てくる)が2大症状だ。症状によって治療法が選ばれる。治療の中心はLEとALTA療法だ。

 LEは古くからおこなわれている、痔核手術の基本となる治療法で、痔核の根元にある血管をしばった(結紮[けっさつ])うえで、痔核を切除する。根治的で確実な治療法で、再発率は数%にとどまるが、切りすぎると肛門狭窄を起こしてしまう。

 ALTA療法は内痔核のみに適応される、注射による硬化療法だ。薬によって痔核を縮小させ、粘膜に固定する。適切に実施されれば有効な治療法だが、注射部位を誤ると、潰瘍など、重い合併症を起こすことがある。また、10年後には1~3割が再発するという。

 そこで最近、治療の主流になっているのが、LEとALTA療法を組み合わせた併用療法だ。▼内痔核にALTA療法、外痔核にLE、▼主痔核にLE、副痔核にALTA療法など、併用療法の考え方は病院によって異なる。術中・術後の出血量や術後の痛みが軽減されること、根治性が高いこと、術後のQOL(生活の質)を保ちやすいことなどがメリットだ。

 寺田病院の寺田俊明院長はこう話す。

「痔核は全部取る必要はありません。肛門機能を確実に確保することを第一に考えて、患者さん一人ひとりの訴えに対し、最適の手術をすることが必要です」

 痔核に比べて痔瘻の患者数は少ないが、治療にはさらに専門的な知識と、高い技術が必要になる。

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